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カルテ開示拒否は違法?近年の個人情報保護法との関係を解説

医院・クリニックを運営していると、患者様からカルテの開示請求を求められることがあります。患者様はカルテを請求する際の理由を書く必要がないため、「どのようなことに診療記録を利用するのか」と不安を覚える院長先生も多いかもしれません。

そこで本記事では、どのようなときにカルテ開示が行われるのか、断るとどうなるのか、近年増えつつトラブルなどと一緒にご紹介します。

 

■カルテ開示とは?

カルテ開示とは、患者様本人もしくは代理人(弁護士や遺族など)が医院・クリニックへ診療記録(カルテ、検査記録、看護記録など)の開示を求めることです。手続きや複写費用などは医院によって異なります。

以前はカルテ開示を拒否する医療機関も多い状況でした。しかし、2003年に厚生労働省が「診療情報の提供等に関する指針」を公表したことで状況が変わります。この指針によって、医療従事者等は原則としてカルテ開示に応じなければならないと明記されたのです。

 

■患者様からカルテの開示を求められる例

患者様からカルテの開示を求められた際は、医院・クリニック側としては理由が知りたくなるかもしれません。しかし、「診療情報の提供等に関する指針」においては、カルテを請求する際に理由を書く必要はないと明記されています。また医院・クリニック側が請求理由を尋ねるのも不適切とされています。

そのため、医療過誤による訴訟目的なのではないかと不安を抱く方も多いようです。ただ患者様がカルテ開示を行う理由はほかにもあります。

たとえば、以下のようなケースが該当します。

・患者様ご自身が診療の推移を単純に知りたいケース

・診療の推移を知り、他院でセカンドオピニオンを念頭に入れているケース

・患者様が交通事故の被害に遭って、保険会社や裁判所にカルテを証拠として提出しなければならないケース

 

■開示を拒否するとどうなるのか?

「診療情報の提供等に関する指針」においては、「患者等が患者の診療記録の開示を求めた場合には、原則としてこれに応じなければならない」と明記されています。つまり、状況によっては拒否することも可能なわけです。

その根拠となっているのが「個人情報の保護に関する法律」です。第28条においては、開示に関して以下のように定められています。

次の場合は全部又は一部を開示しないことができる

(1) 本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合

(2) 当該事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合

(3) 他の法令に違反することとなる場合

逆に言えば、医院・クリニックが上記の理由以外でカルテ開示を拒んだ場合、診療契約の債務不履行または不法行為に基づき損害賠償を求められることもあります。

 

■近年生じているカルテ開示に関わる経営上のトラブル

カルテ開示は一般的になりつつあり、拒否する医院は少なくなっています。しかし、その分さまざまなトラブルが生じているのも事実です。以下に代表的なトラブルをまとめました。

1:小規模クリニックだから拒否できると考えている

個人診療所・クリニックの場合、カルテの開示は関係ないとお考えの方もいらっしゃいます。確かに2005年段階の「個人情報の保護に関する法律」では、カルテ開示は5000件以上の個人情報を有する医療機関においてのみ義務づけられていました。

しかし、2017年に「個人情報の保護に関する法律」が改正された際に、5000件の枠組みが撤廃。小規模のクリニックもカルテの開示に応じることが義務付けられました。

 

2:個人情報の流出による訴訟リスク

カルテの開示を拒否する医療機関は少なくなってきました。しかし代わりに問題になっているのが、患者様本人以外にカルテの情報を渡してしまったケースです。あくまでカルテの開示は患者様本人、もしくは代理人(弁護士や遺族など)のみに認められています。代理人が本当に患者様の関係者かどうかを確認せず、患者様の個人情報を開示してしまうと、法的責任を負う可能性があります。

3:合理的な費用を超えた額の実費請求

カルテ開示の際には手続きや複写費用などが医院によってばらばらです。特に問題となっているのが費用です。医院・クリニック側が「手続きが煩雑だから」「開示手続きをあきらめてもらうために」といった観点から基本手数料を高額にしているケースもあります。しかし、厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイドライン」においては、開示請求の費用に関しては合理的な額を徴収するように求めています。ガイドラインなので、法的拘束力はありませんが、今後深刻なトラブルを引き起こす可能性も指摘されています。

 

■まとめ

カルテ開示は今後ますます大きな動きになってくるのは間違いありません。現時点でも小規模な医院・クリニックにおいては大きな負担となりつつあります。しかし、面倒で状況がよくわからないからと、患者様のカルテ開示を拒否してしまうと、思わぬ訴訟リスクを背負いかねません。

特にカルテ開示に関して医院・クリニック内で状況が共有できていない場合は要注意です。ぜひ開示申請に必要な書類、適切な費用、申請資格などの規則を迅速に整えましょう。その際、お困りの点があればどんなことでも当社までご相談ください。

 

 

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