コンタクトレンズの処方箋を発行したり、白内障や緑内障などの外科手術を行ったりとさまざまな治療を行う眼科医。近視の子供が増え、高齢化という状況もあいまって需要は急増しています。そのため、他の診療科目に比べると、眼科医の年収は高い傾向にあるといった話も見聞きします。そこで本記事では、眼科医の平均的な年収（勤務医・開業医含む）、現状の課題と将来性についてまとめました。眼科医の年収、なかでも開業医の年収について詳しく知りたいとお考えの方はぜひご覧ください。

 

■眼科医の年収はいくらぐらいなのか？

• 勤務医の場合

勤務医の年収を教えてくれる資料として有名なのが、独立行政法人労働政策研究・研修機構による「勤務医の就労実態と意識に関する調査」です。この資料によると、眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科の平均年収は「1,078.7万円」となっています。全診療科の医師の平均年収は「1,261.1万円」なので、眼科医の年収が高いと聞いていた場合は驚いた方も多いかもしれません。

しかし、これは眼科医・耳鼻咽喉科医・泌尿器科医・皮膚科医の年収を合わせた平均値なので、実態とは異なる可能性があります。実際に眼科医の求人を見てみると、都市部のクリニックを中心に2,000万を超えることも珍しくありません。

• 開業医の場合

では開業医の場合はどうでしょうか？開業医の年収に関しては令和3年実施の「第23回医療経済実態調査の報告」が参考になります。ただ、第23回は新型コロナウイルスの影響で、過去の状況よりも数値に変動がみられました。そのため、令和元年11月に実施された第22回のほうが現時点ではより平均的な状況が把握できると思われます。

この調査によると、全開業医の平均年収は「2,763万円」と算出されています。眼科に関しては「3,377万円」と、平均年収を大きく上回っている状況です。過去のデータと比較しても、眼科医の平均年収は3,000万円前後となります。

 

■眼科医の開業時の費用例

他の診療科同様、開業時の費用は立地、内装、設備などによって異なります。特に眼科の場合は、レーシックによる視力回復手術、白内障や緑内障などの手術を行える環境かどうかで開業費用はまったく変わってくる状況です。

基本的には土地、建物、設備を合わせると、4,000万円～7,500万とするデータが多く見られます。ただ、通常の視力検査機器や眼圧計だけではなく、最新の設備を導入した場合は開業費用が1億を超えるケースも出てきます。

 

■眼科医の現状

眼科医の年収が高い理由は主に3点あると言われています。「患者様へのコンタクトレンズの安定的な処方」「生活習慣病による眼科疾患の急増」「視力回復手術（レーシック手術）の需要増」です。

特に眼科の手術は短時間で終わる傾向があり、高額なレーシック手術に関しても日帰りでおこなえると広告している医院・クリニックも多く見受けられます。最近では移植矯正手術「ICL手術」など高度な診療内容を用意している医院・クリニックも増えてきました。患者様を一日に何人も見ることができて、一人当たりの単価も高ければ、それだけ高い収入が見込めます。

 

■眼科医の将来性

「テレワークによる眼科トラブルの急増」「近視の子供が増えている現状」「高齢化を背景とした各種手術への対応」など、さまざまな場面で眼科医が必要とされるケースは増えています。

そのため一見将来性に関しても問題ないように思えます。しかし、これらの動きは歯科医療がたどった道と似ているのではないか？と多くの方が指摘している状況です。

たとえば、増大する医療費を削減するために厚生労働省は診療報酬の点数を厳しくチェックしています。また、レーシック手術に関しても対応できる医院・クリニックが増加しています。これは歯科のインプラントと似ている状況です。

さらに、眼科は他の診療科に比べると、勤務医の割合が少なく、開業医が多い傾向にあります。つまり過当競争に陥りやすく、それぞれの医院・クリニックの特性を打ち出さなければ生き残れない時代にさしかかっているのです。

 

■まとめ

眼科医の年収は、勤務医・開業医ともに高いのが特徴です。それはコンタクトレンズの処方やレーシック手術などで、一人当たりの患者様の診療単価が高いからだと言われています。しかし、将来性に関しては不安な面も見受けられます。

特に眼科は開業時の設備費や人件費の割合が高く、競合も多い傾向にあります。そのため、エリアやターゲットの特性を考えて、開業場所を選定し、必要な設備を正確に見極めなければなりません。そこさえ丁寧にクリアして、より高度は診療、予防を患者様に提供し続けられる環境が整えば、安定的な収益が見込める診療科だと言えます。

 

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